秋田県 日本海金属 発盛精錬所
秋田県の五能線八森駅に、日本海金属 発盛精錬所専用線が接続していた。もともと日本でも有数の銀鉱山があったが、採掘量が減った後も鉱石を他から運搬して精錬していた。
とてもユニークな入換用車輌があるとは聞いていたが、1978年の6月に初めて訪ねてみて、そのゲテモノぶりに魅了され、同じ年の7月と9月にも足を運んでしまった。
(精錬所の名前「発盛」は「はっせい」と読むらしい)

五能線はこの辺りでは海岸に沿った段丘の上を走っているが、工場は日本海側の狭い場所にあり、八森駅までの距離は1kmもない短い専用線だった。
右手奥の屋根の下がこの「機関車」の車庫で、線路はそこで終わっている。
 
     
 
     
 
工場側を見渡すと右奥の端に、このページの上の写真の車庫がある。
工場内の積み降ろしホーム辺りから八森駅の方向を見渡す。左端の白い建物の先に専用線が延びていく。 
  八森駅との境界渡り線の手前で「機関車」が止まっている。駅構内の一部まで架線が延びているのが見える。
五能線のDE10形ディーゼル機関車が貨車の入換作業をしている。
 
     
 
国鉄の貨車を連結すると、いかに小さいかがよくわかる   車体の四面ともデザインが全く違う。冬の厳しい海からの風を遮るために海側は鉄板で防御しているようだ。
 
     
「機関車」の右手に五能線の線路が見えている。
八森駅から工場に向かって快走する姿。
  専用線の沿線にはこんな風景もあった。
 
     
一日の仕事を終えて車庫に入る瞬間を撮影した。架線は車庫の屋根の下までは延びていない。絶縁が面倒だからか?機関車はノッチオフで惰行に入ると終電ポールを下げ、ブレーキ操作だけで屋根の下に潜り込んだ。
朝、車庫から出る時は、長い電源ケーブルを運転室のどこかに接続して車庫から這い出し、架線の下まで行ってからポールを上げて仕事が始まる。
  当時写した写真を今になって見ると、鉄板で覆われた海側を写したショットがほとんどだった。これは山側が見える角度の数少ない写真。架線から集電して車軸に近いモーターを廻すだけだから、他には何も機器が必要ない、と言ってしまえばそれだけだが、確かに中に何があるわけでもない。
この専用線が廃止されたのは1983年というから、この訪問の5年後ぐらいだ。
 
ウェブサイトでこの精錬所の情報を調べていると、かつて朝鮮半島からの労働者を過酷な条件で使っていたという暗い過去があることがわかった。ここを訪ねた当時は知る由もなかったが、2007年に共同墓地が造られ供養が行われている。    
     
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