釧路市内に海底炭鉱があり、太平洋炭礦株式会社が石炭の採掘を行っていた。釧路臨港鉄道は国鉄と同じ1067mmゲージの私鉄で、選炭場がある春採(はるとり)駅を通って東釧路駅で国鉄根室本線と接続していた。
 ここで紹介するのは臨港鉄道とは別に、炭鉱から産出される石炭を春採駅まで運搬していた610mmゲージの狭軌専用線である。これは太平洋炭礦が運営する電化鉄道であったが、途中の踏切で横切る自動車をクリアするために架線の位置が高いのに対し、軌道が狭いため電気機関車はスリムな形になり、更に屋根上に架台を置いて高い位置にパンタグラフを立てる独特のスタイルとなっていた。
 1978年7月にここを訪ねた時の風景を紹介するが、この鉄道は1989年に廃止された。
 
     2号機が牽引する石炭列車
 ボタ山をバックに走る10号機。  機材を積んだ列車を牽いているのは7号機
 
     
 
 正面から見るとのっぽなフォルムが際立っている。幼い頃にテレビで見た「珍犬ハックル」というアメリカのアニメの主人公の顔を連想した。(今の若い人は誰も知らないと思う)    これだけ架線が高くパンタグラフが狭いと、レールの状態が少し狂って車輌が左右に傾くと、パンタグラフが架線から外れてしまうと思うが、事故は無かったのだろうか。
 
     
3号機のサイドビュー。他の機関車と比べて台枠が長い設計となっているが、その意味は不明。   複線区間は右側通行だった。鉱業所へ向かう空車の列車(6号機)が、春採駅へ向かう石炭を積んだ列車(2号機)とすれ違う瞬間。
 
     
太平洋炭礦は2002年1月に閉山したが、釧路コールマインが石炭の採掘事業を継承し、2002年4月から採炭を開始した。現在では国内に唯一残る坑内掘り炭鉱である。(専用線も臨港鉄道も廃止されているが)   8号機が牽く列車。複線の専用線の両端である春採と鉱業所前では線路がループ状になっていて、機関車の付け替えをする必要もなく列車がピストン輸送をしていたという。1989年にこの専用線が廃止されベルトコンベア輸送に切り替わった。
 
     
専用線の休日に構内を訪ねて探索していると、急勾配のインクラインがあった。   線路に沿って登って行くと上を横断する跨線橋があった。どのように貨車を引き上げていたかは分からない。
 
     
跨線橋の先から下を振り返ると、こんなアングルの写真になった。   インクラインの頂上が近い。
 
     
構内に止まっていた事業用車輛。用途は分からない。   赤い羽根のロータリー除雪車は分かるが、右手の車輌は何を運搬するのだろうか。この他に従業員用の客車もあった。
 
     
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北海道 太平洋炭礦 春採電車線