アメリカ  ローリング・キャンプ&ビッグ・ツリー鉄道 カリフォルニア
アメリカ西海岸サンフランシスコの南方にサンタクルスという町があるが、その北方のフェルトンという所がこの鉄道の起点だ。樹齢千年を超えるアメリカ杉の巨木が覆う森の麓にあるこの駅から、アメリカの森林鉄道用に設計された特殊な構造の蒸気機関車が、観光客用の列車を牽いて山頂まで登っている。
この鉄道は一見、廃止された森林鉄道を復活させて観光用に運転しているようだが、実は1963年の開通当初から保存林での森林浴を楽しむ観光客向けに敷設されたものだ。麓と山頂の両方がループ線になっているので、機関車の付け替えや方向転換なしで往復運転が出来る構造になっている。

1980年5月に訪問した時の写真をここで紹介するが、ホームページを調べると、今でもこの機関車達は健在のようだ。
 
 
アメリカ杉はレッドウッドと呼ばれ、その名の通り樹皮が赤い。うっそうとした巨木の間を縫う様に列車が走って行く。   案内図が示すように森の中を右に左にカーブしながら登って行くが、最も急な勾配が8.5%あり普通の機関車には耐えられない。そこでアメリカの森林鉄道で多く使われていた特殊な構造の蒸気機関車が、ここでも使われている。
 
     
この日運転されていた2号機は「ハイスラー式」という構造だった。2本のピストンがV字型に配置され、2本のレールの中心線上にあるプロペラシャフトを回転させると、これが歯車で前後2軸ずつの動輪を回転させる。   ハイスラー式は急曲線、急勾配に強い蒸気機関車だ。下で紹介するシェイ式に比べて、左右対称のバランスの良さが長所だったが、登場した時代が遅く、シェイ式を凌駕することは出来なかった。
 
     
これは復元整備を待っていた5号機。クライマックス式という特殊構造の機関車。ちょうど錆びた円盤の陰になっていて見にくいが、両側のピストンがレールと直角方向の軸を回転させたあと、ハイスラー式のようにレール中心線上のプロペラシャフトに歯車で伝達され回転させる構造だ。   当鉄道で運転されている1号機はシェイ式という特殊構造の機関車。ピストンが右側だけに縦に配置されていて、レール方向のシャフトを回転させて、歯車で動輪に回転を伝達する。このシェイ式が西海岸の森林鉄道で多く使われていた。
<この鉄道の売店で購入した絵葉書のコピー>
 
     
木材で組上げた大きな橋で、ループ状に線路が登っていく場所が名所になっていたようだが、放火で焼失し使えなくなっていた。(案内地図では木橋のままになっている)   焼失した木橋のループ区間を迂回するようにスイッチバック式の線路を建設して接続し、列車が登っていくようになっていた。
 
     
当時の資料によれば、この鉄道が保有していた蒸気機関車は、上で紹介した1号機(Lima社1912年製42t)、2号機(Stearns社1899年製37t)、5号機(Climax社1928年製50t)の他に、3号機(Baldwin社1890年製12t小型タンク機関車、普通の構造)と4号機(1897年Baldwin社1897年製22tタンク機関車)の5両ある。   4号機にはWaipahuという名前がついており、後に日光のウエスタン村で観光客を乗せて園内を走っていたサドルタンク式機関車が、当時この鉄道で保管されていたものと思われる。

 山の麓のフェルトンの駅を出るハイスラー式2号機。
 
     
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