リューゲン鉄道は、ドイツ北部のバルト海にあるリューゲン島の東南部を走る、延長24.4qのナローゲージ鉄道である。
リューゲン島は避暑地で、夏は海水浴を始めとしたリゾート客が訪れるため、この鉄道の現在の名称は直訳すると「リューゲン海水浴鉄道」となる。
起点のプットブス駅は標準ゲージのDBと接続しており、750mmゲージのこの鉄道の列車に乗り換えて東方の海岸沿いのゲーレン駅まで蒸機列車の旅を楽しむことが出来る。
1999年にはプットブスから南へ海岸までのDBの2km区間の線路を750mm併用の三線軌に改築し、ナローゲージの列車がラオターバッハ・モール駅まで往復できるようになった。夏のシーズンだけこの区間をリューゲン鉄道の列車も往復している。
 
<リューゲン海水浴鉄道HPより>
 
2011年8月にこの鉄道を訪ねた。レンタカーで起点のプットブスに12時半頃に着いたが、暫くするとゲーレンから来る13時6分着の列車が駅に入ってきた。   5分間停車の後、三線軌に入りDBの終点ラウターバッハ・モールに向かって発車していった。左から合流する線路がDBの標準ゲージである。
 
   
プットブス駅に停車中のDBの気動車。左手に蒸機の動輪が展示さているが、その後方の車輌はリューゲン鉄道のナローゲージの客車群。   駅構内には、標準ゲージとナローゲージ(750mm)が交差するクロッシングがある。
 
     
車でゼリン西という小さな駅の近くへ行き待っていると、ゲーレンから来る列車を99 1784号機が牽いて来た。旧東独のナローゲージ鉄道ではよく見かける動輪5軸の蒸機である。   ゼリン西駅に到着したこの列車は、客車6両、乗客を乗せた無蓋車1両、自転車専用車、事業用車という長い9両編成だったが、満員でデッキまで乗客があふれていた。
 
     
約1時間後の15時過ぎにゲーレンから来る列車を牽いて来たのは、同じ形式の99 1782号機だった。
機関車の次に自転車専用車と事業用車、そして客車6両を連ねた8両編成。
99 1782と1784の2輌の蒸機は、1953年に東独時代のカールマルクス機関車製造所(LKM)で製造された機関車で、先輪1軸、動輪5軸、後輪1軸の配置、機関車重量52t。
ザクセン州に残る他の750mmゲージの鉄道でも主力の機関車である。

(左右) この列車はプットブスまで行かずビンツで折り返し列車となり、約1時間後にゼリン西駅に入ってきた。逆向で列車を牽く機関車はきれいに磨かれている。
 
 
     
リューゲン鉄道にはドイツの他のナローゲージ線では見られない形式の蒸機が走っている。プットブスで最初に見た99 4801号機である。13時過ぎにプットブスからDBとの三線軌でラウターバッハ・モールへ行き、折り返してきた列車を牽いて99 4801号機がゼリン西駅に入ってきた。1938年ヘンシェル社製で機関車重量は33t。同形の99 4802号機もこの鉄道が保有している。
 
     
先輪1軸、動輪4軸の足回りで、ボイラは比較的細く、サイドタンクからキャブにかけてリベットが並んでいる。   終点のゲーレンまで行った99 4801号機が、折り返してゼリン西駅に戻って来た。
 
     
  プットブスの基地には色々な車輌が留置されていた。
緑色のタンク機は53号機。1925年バルカン社製、動輪4軸で機関車重量26t。
(左)黒のタンク機は99 4011号機。1931年コッペル社製、動輪4軸で機関車重量38t。この2日後に偶然立ち寄ったマンスフェルド鉄道で見た蒸機と同形機だった。マンスフェルドのHPを見ると6〜9号機の4輌は過去の保有車輌となっているが、その7号機がリューゲン鉄道に移籍していたのだ。
(右)紺色のカマはAquarius Cという名称で、1939年ボルジッヒ社製。動輪5軸でサイドタンクがあるが短いテンダーも付随している。
この鉄道には他に、客車30両と荷物車/貨車16両が在籍している。
 
     
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ドイツ リューゲン鉄道