ヨルダン・ヒジャーズ鉄道 ジーザ駅
シリアの首都ダマスカスと、イスラム教の聖地メディナ(現サウジアラビア)を結ぶヒジャーズ鉄道(延長1,303km)は、1908年に開業したが、現在ヨルダン国内の区間のうち、シリア国境からヨルダン中部のワジ・アルアブヤド駅までの間が、「ヨルダン・ヒジャーズ鉄道」により運営されている。1050mmという特殊な軌間である。
2008年春までは、首都アンマン駅からシリアのダマスカスまで国際列車が週2往復運行されていたが、これも廃止され、現在は旅客・貨物とも定期列車は運転されていない。年に何回か団体貸し切り列車が運転されるため、車輌は整備され駅員も配置されている。

  <ヨルダン・ヒジャーズ鉄道製ポスターより加工>
 
     
  アンマンから南へ37kmの位置にジーザ駅がある。2009年7月に訪ねた時、ここに動輪配置パシフィック型(先輪2軸、動輪3軸、従輪1軸構造)の85号機が静態保存されていたが、これは日本車輌(1959年)製の蒸機である。
円室扉の下とテンダーの側面には白い塗料で文字と模様が描かれていた。前年2008年に開業100周年記念事業として、特別列車がヨルダン南部のアカバからワジラムまでの区間で運行され、観光客を載せた客車を牽引した時の姿のままで、この駅に保管されていた。
この時は数両の客車とディーゼル機関車を従えて止めてあったが、この客車は特別列車の時に牽引したものとは別の、保存客車である。
     
 
中央の楔形の文字はアラビア語表記の数字で8、その右の三角形は数字の5、合わせて85号。右にアカバ、左にワジラムと書かれているが、この時運転された区間の両端の駅名。
キャブのデザインはやはり日本製。
  日本と逆で機関士席が右側にあるため、逆転機へ伸びる操作ロッドがボイラーの右側に設置されているのが見える。
キャブ側面にはこのイベントのために作ったプレートが固定されてあった。
 
 
     
赤錆が浮いているが整備すればまだ現役   1985年にアンマン機関区を訪ねた時に見た82号機と同型機。煙室の横に日本車輌のプレートがしっかり残っていた。
 
     
 
石造りの立派な駅舎
給水塔も二槽式で立派なもの
  列車の最後尾にはディーゼル機関車が連結されていた
軌道モーターカーは鉄輪を履いたジープ?
 
     
 
85号機の後ろに連結されていた客車
但しこれらは100周年記念列車で運行されたものではない
  85号機とは別に駅構内外れに留置されていた客車
 
 
  85号機関車の次に連結されていたのは荷物車だが、非常用ブレーキが装備されていた。
操作手が座る場所が高い位置にあり、屋根がとび出ている。左の写真にもそのとび出た屋根が少し見えている。
       
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