2017年4月7〜9日の3日間、毎年恒例になったドレスデン蒸機フェスティバルが旧東独のドレスデン Altstadt 機関区を中心に開催された。この機会にドイツ各地で動態保存されている蒸機がゲスト機関車としてここに集結したが、バイエルン鉄道博物館の原形01形 01 2066号機が、前日の4月6日にツアー客を乗せた特別列車を牽いてドレスデン入りし、10日にやはり特別列車を牽いてドレスデンから博物館へ戻った。
6日朝8時にミュンヘンを発車した列車は、10時過ぎにドナウヴェルトで機関車を01 2066号機に付け替え、ドレスデンに夜8時過ぎに到着するまでのロングランだった。
ニュールンべルグ東方で、先ず最初にその姿をカメラに収めた。
    この撮影地点の東方にあるヘルスブルックの駅で、機関車が給水のために停車する。撮影前の時間に駅を訪ねてみると、1番ホームの列車表示盤に蒸機特別列車として堂々と表示が出ていた。
ドイツの大型蒸機を撮影する時は、列車の速度が速いため、給水のために駅で停車する時間を使って、車で先回りする計画を綿密にたてることが肝心だ。
 
次の撮影地として、急勾配の難所で有名なシーフェ・エーベネに向かった。ここを訪れるのは初めてだったが、車を置くわずかなスペースには撮影地としての案内看板が建っていた。トンネルの向こうには階段が整備されていて、線路際の斜面に登って行くことができる。石垣の上が非電化複線の本線だ。⇒

カメラが並ぶお立ち台の横にも、蒸機の写真入りの看板が建っていた。列車が来る予定時刻の1時間以上前だったが、既に10名程度の先客が三脚を立てて準備していた。
     
やがてシュクシュクという規則正しいブラストが聞こえ、白煙とともに01が姿を現した。予定時刻より少し遅れて来た。   ここは有名な撮影地であるが、昼過ぎには完全な逆光になる。それでも力強い登坂の姿とブラスト音は、それを償って余りある。
 
     
最後尾をディーゼル機関車が補助していたが、カメラの列の前を01 2066号機は足早やに通過していった。   キャブに乗っている乗務員のひとりは長い髪を束ねた女性だった。翌日ドレスデンの機関区でカマの整備をしていた。
 
     
 
列車はホフの手前のオーバーコッツァウ駅で給水停車するため、次の撮影地点はホフの先にした。アウトバーンから近いはずだったが、インターを降りた後、田舎道をしばらく走ってようやく目的地に到着した。勾配も緩いため、かなりの高速で列車は走り抜けて行った。
サイドから見るとデフレクターはかなり長い長方形だ。このカマを含む01形の初期101輌は、先輪の直径が850mmで小さい。102号機以降は直径を1000mmにして最高速度を120km/hから130km/hにアップしている。
  列車はもう一度ツヴィッカウの手前の駅で給水停車するので、グラウハウの先で4度目のチャンスを狙った。夕方6時以降になるが、3月末からサマータイムに入ったドイツでは、この時期日没が8時頃だから、まだ充分明るかった。ここもかなりの高速で煙を上げながら疾走していった。
天気予報では、この日は曇りで雨も降りそうだったが、結果的には列車が来る時間には太陽光線を浴びるラッキーな状況になった。直径2mの大きな赤い動輪が夕陽を浴びて回転していく姿に魅了されてしまう。
 
     
翌7日から蒸機フェスティバルが始まり、ドレスデン・アルトシュタット機関区が解放された。朝10時の開門後に入ってみると、扇形庫には各地から集まった大型蒸機が並んでいたが、01 2066号機はその外の石炭補給線に停まっていた。(左端)   前日の好天と打って変わって夜からの雨が続いていた。
01 2066号機は、翌日の8日に往年の東独蒸機全盛時代を再現するドレスデン〜ベルリン間のDツーク(急行列車)を模したイベント列車を牽引することになっていて、この日は機関区で整備を受けながら過ごしていた。
 

   
1928年の製造当初のナンバーは01 066だったが、東独時代に原形01形が2000番台となったため01 2066となった。西独(DB)では3気筒の01.10形の重油専燃機が012形となり、製造時に01 1066だったカマが012 066号機となった。6桁の数字は同じ並びであるが、これは別の機関車である。しかもDB時代に012 066だったカマは、今も01 1066号機として保存されている。(チューリンゲンの森2010年冬   01 2066号機は1928年にシュヴァルツコップで製造され、1977年まで東独国鉄(DR)で使用されたが、初期の形態のまま1970年代後半まで活躍した数少ない01形のひとつである。廃車になった後は、ボイラ代用として1989年まで利用されていたが、他の同形機からの部品も活用して1993年に動態保存状態に復活し、現在はバイエルン鉄道博物館に所属している。但し今回のドレスデン往復ツアー(ベルリン往復はオプション)はウルム鉄道愛好家協会(UEF)が企画したものである。
 

   
往年の雰囲気を残す機関区の一角で点検を受ける。   シーフェ・エーベネを走行中に、キャブに乗っていた長い髪の女性乗務員が油をさしていた。
 

 
蒸機フェスティバル最終日の翌日10日、ツアー列車はドレスデンを朝8時に出てミュンヘンに夜の8時半に戻ったが、01 2066号機はドナウヴェルト駅に7時前に到着するまでこの列車を牽いた。
朝ドレスデンのホテルをチェックアウトし、最初の撮影地は前日にロケハンをしておいたタラントの先の山越え区間とした。
  朝から天気は良かったが、撮影準備が終わった頃は太陽の位置がまだ低く線路は日陰になっていた。この時ばかりは列車が定刻より遅れてくることを祈り、太陽光が少しずつレールの近くまで照らしていく様子を見届けていた。
やがてブラスト音が聞こえ、白煙が見え、朝陽を浴びて輝きながら01は通過していった。
 

   
次の撮影地として壮大な石造のゲルツシュタール橋に向かった。ところが現地に着いてみると石橋と列車を良い角度で狙える場所が見つからず、急きょ別の場所を探して移動することにした。幸いにも線路端で手軽に狙える場所が見つかり、余裕をもって撮影準備ができた。ところが実際には予定時刻より列車は40分ほど遅れて来た。   ホフまでは電化区間を走るが、その先は架線の無いすっきりした風景になる。6日と同じオーバーコッツァウ駅で給水停車するため、この日3度目の撮影ポイントをその先にGoogleEarthで探し、のどかな風景の中で小鳥のさえずりを聞きながら列車が来るのを待っていた。列車は遅れを少し取り戻していた。
 

   
3度目の撮影ポイントはそれほど急な上り勾配には見えなかったが、01はゆっくりした足取りで規則正しくブラスト音を響かせながら眼前を通過していった。後補機のディーゼル機関車のエンジン音が聞こえなかったのは、あえて01の勇壮な走行ぶりを見せるために牽かれていたのだろうか。   列車が通過した後もいつまでもブラスト音が聞こえるため、振り返って見ると煙を上げながらゆっくり走っていく列車の姿をしばらくの間見ることができた。
この日はニュールンベルグからフランクフルト空港行きのICEに乗ることになっていて、ドイツの蒸機の見納めだったが、充分に堪能することができた。
 

   
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ドレスデンへ往く 01 2066号機