(2017年の入場券)
  4月上旬にドレスデンの機関車博物館を中心に開催される蒸機フェスティバルは2017年で第9回を迎えた。このイベントではドイツ各地で動態保存されている蒸機がドレスデン・アルトシュタット機関区に集結し、ドレスデンを起終点とする特別列車を牽いて鉄道ファンにサービスする。
4月7日(金)から3日間のイベントの2日めの午後、線路の上を横断する陸橋の歩道から扇形庫を見下ろした。
   
 この時間帯、特別列車を牽いている蒸機はここに居ないが03.10形、50.35形、52.80形等が並んで煙を上げていた。
 
     
イベントの初日、4月7日の午前中に機関区を訪れるとあいにく雨模様だったが、そこには旧東独の大型蒸機の雄姿が並んでいた。   右側の35 1097はグラウハウで保存されている35形。東独時代に23.10形として113輌製造したが、1970年に形式再編で35形となった。その左側の03 2155はノッセンで保存されている2気筒の03形。戦前の1934年製だが改造で東独蒸機の風貌になっている。
 
     
奥に見える50.35形3552号機が庫からゆっくり出てきて、これからターンテーブルに乗って出区する。1939年にデビューした50形は1943年までに3164輌が製造されたが、戦後東独国鉄は208輌のボイラーを更新する等改造して50.35形となった。   ハナウで保存されている50 3552号機が出ていく先に陸橋が見える。傘をさして見下ろしている人が数人。このページ上の扇形庫全景の写真は、この陸橋から撮影した。
 
     
3気筒の03.10形はハレの鉄道博物館から参加した。6年前に01.10形の代走で走行する姿を追いかけたカマ。左隣に01.5形の姿が見える。   1940年のデビュー当時、流線型のカバーに覆われていた面影はどこにもないが、下の2個のヘッドライトの中央に3本目のシリンダーのピストン尻棒カバーが突き出ているのが3気筒の証拠。
 
 
03.10形の直径2mの動輪。ドイツの急行旅客用蒸機は大きく繊細な水かき付きスポーク動輪が魅力だ。機関車の横に普通に立ってカメラを向けるとこの高さになる。
  戦後ドイツが東西に分割された時、3気筒の01.10形の配置がなかった東独国鉄は、2気筒の01形を改造して出力を上げた01形500番台を開発し35両の01.5形が誕生した。1970年の形式再編で重油炊きの機関車は0500番台、石炭炊きは1500番台となった。
 
     
翌日の4月8日(土)に01 1519号機は、東独時代に幹線ルートだったドレスデンから東ベルリンまでのDツーク(急行列車)を再現する特別列車を牽いた。   ツアー客を載せたMETROPOLという愛称の列車は、ドレスデン中央駅を10時45分発、ベルリンの終着駅はオストでなくシェーネヴァイデ14時22分着というダイヤ設定だった。
 

   
ベルリンから帰ってきたDツークはドレスデン中央駅の地平ホームに到着した。かまぼこ形ドームの屋根の下は、カメラを向けるファンの熱気に包まれていた。   列車は定刻より10分程度遅れの21時20分頃に到着した。蒸機列車の旅を堪能した乗客を降ろした後、01.1519号機は逆行推進でホームを離れて行った。
 

   
今回の祭典のプログラムとしては位置づけられていなかったが、個人が所有しノッセンで保存されている18 201号機が、8日にライプチヒからプラハまで運転され、ドレスデンを朝走り抜けるという情報が入った。
本当に走るのか半信半疑だったが、ホテルを7時に出てチェコ国境方向の線路端で待っていると、緑色のスーパースターが特別列車を牽いて疾走していった。
  撮影場所に7時40分頃着いた時は薄日が射していた空は、列車が来る8時半過ぎには厚い雲に覆われていた。
この機関車は戦前の1939年にベルリン〜ハンブルグ間を走る急行列車を牽くために、特別に製造された流線形タンク式蒸機61形002号機を、東独時代の1961年にテンダー式に改造したもので、動輪直径が2300mmある。これはドイツの蒸機最高速度記録を出した05形と並びドイツ最大である。
 

 
特別に改造した機関車のため、同形機はなく、貴重な1輌が大切に保存されている。補助テンダーを従えた堂々とした風貌だ。東独時代に02形として02 0201号機と称した時もあった。   プラハから帰ってきた18 201牽引列車は、20時半頃にドレスデン中央駅の高架ホームに到着した。多くのファンが見守る中、数分間の停車の後にライプチヒへ向けて発車していった。
 

   
8日午後にドレスデン中央駅を出て、セブニッツ、ノイシュタット(ザクセン)を回ってドレスデンに戻る特別列車は50.35形3648号機が牽引した。この列車はバードシャンダウとノイシュタットの間は、駅の配線の関係からそれ以外の区間とは機関車の方向が逆になってしまう。   上り勾配の風景の良い区間だったが、残念ながらカマはこの区間はテンダーを前に逆行で牽引していた。
ノイシュタットから前向きになってドレスデンに向けて発車する50 3648号機。この地方はザクセンのスイスと呼ばれるリゾート地のようだ。
 

   
7日の夕方、チェコ国境を越えてジェチンまで往復する特別列車は03形2155号機と03.10形1010号機という豪華な重連に、35形1097号機の後補機という運転だったが、あいにくの雨天の中の走行となった。   ジェチンからの帰りの列車は30分以上遅れたこともあり薄暗い雨の中を疾走していった。
 
  列車の最後尾では35 1097号機がしっかりとアシストしていた。
ドレスデンの蒸機の祭典では、多くの特別列車が運転されるため、すべてを追って撮影することはできず、いくつかはあきらめざるを得ない。6日にノルトリンゲンから来てドレスデン入りした01 2066号機は、8日にベルリンまでの特別列車を牽いて往復したが、この日走った18 201号機を撮影するために撮影をあきらめた。
またドレスデンからケムニッツに向かうタラント峠では、複線区間を蒸機牽引の特別列車が同じ方向に並んで走行するというパラレル運転もあったが、これも撮影をあきらめるざるを得なかった。
 

   
4月9日(日)は朝から晴天で、50 3648 号機と 52.80形 8131号機の重連が牽く特別列車がアルテンベルグ山岳路線を登って行った。狭隘な地形で編成を見渡せる撮影ポイントが限られていたが、やっと見つけた場所で待っていると、2輌の機関車が迫力ある走りを見せてくれた。   9日午後も天気に恵まれ、チェコのジェチンまで行く列車を35 1097号機が牽いて疾走していった。
35形は東独時代に23.10形として製造された中型旅客列車用蒸機で、動輪直径は1750mm、車軸配置は先輪1軸、動輪3軸、従輪1軸である。中型と言っても馬力は1700PSで日本のC62形を上回る。
 
     
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ドレスデンに集う旧東独蒸機