イスラエル北部、地中海沿岸の港町ハイファに鉄道博物館がある。2000年6月にここを訪ねた。
ハイファ駅は、現在は地中海に沿ってテルアビブと鉄道(標準軌:1435mmゲージ)で結ばれ頻繁に列車が運行されているが、もともとは20世紀初頭、ダマスカスとメディナを結ぶヒジャーズ鉄道が、デラアから分かれて地中海の港に出るための支線(1050mmゲージ)として建設された。しかしイスラエルの建国後、シリアと敵対しているためこの区間の交通需要はなく、鉄道は廃棄されたままである。

イギリスの委任統治時代には、エジプトのシナイ半島北部から現在のパレスチナ自治区であるガザを通過してハイファに至る路線等があったが、今は廃止されている。この博物館には、こうした時代の車輌や資料も展示されている。
     
 
1902年にドイツのクラウス社で製造された動輪3軸の機関車10号。ハイファを中心に短区間列車の牽引や、駅での入換作業に使われていた。
総勢17輌が活躍し、当初は石炭燃料だったが、1940年代に重油に改造されたという。
  19世紀終わり頃にベルギーで製造された車輪3軸という珍しい構造の客車で、エジプト鉄道で使われていた。
イギリス軍が第一次世界大戦時にエジプトからパレスチナへ向けて進軍する際に、傷病兵を輸送するために使っていた「救急貨車」。戦後、パレスチナ鉄道で通常の客車として使用された。
   
1922年イギリス製の貴賓車。パレスチナ鉄道で使われていたものだが、乗客の中にはウィンストン・チャーチルや、エチオピアのハイレ・シェラセ皇帝、エジプトやイラクの皇族がいた。   ハイファとデラアを結ぶヒジャーズ鉄道で使われていた貨車。山岳区間を走る列車に連結されるときは、制動手が乗務して機関車と連絡を取りながらブレーキを操作していた。
 
     
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