ヒジャーズ鉄道の起点ダマスカス駅は現在の市街地のほぼ中心部に当たるカナワトにあり、荘厳な石造建築の駅舎があるが、2004年頃から線路が撤去され地下化工事が進められているため、現在はここから約3km南にあるカダム駅が列車の起点となっている。カダム駅は1050mmゲージのヒジャーズ鉄道の他に、標準ゲージ(1435mm)のシリア鉄道の駅でもあるが、ヒジャーズ鉄道の車両基地と工場が併設されていて、工場の一部が2008年に鉄道博物館として整備された。
博物館は約20両の蒸機を展示する屋外の車輛展示ゾーンと、鉄道に関する用具や部品の展示室、そして工作機械が並ぶ検修庫をそのままの状態で見せるゾーンとで成り立っている。2010年12月にここを訪ねた。
車輛展示ゾーンは車輛を載せて他の線に横移動するトラバーサーという設備に沿って並べて置いてあるが、1993年にここを訪ねた時は朽ち果てそうな車体が並んでいた。
 
<博物館パンフレットから加工>
     
 
独ホーエンツォレルン社製(1908年)動輪3軸の機関車35号。きれいに塗装されている。
35号と同形の33号機のプレート類。赤いプレートはヒジャーズ鉄道の社名板。その下はアラビア語表記の数字で33。
  独アーノルト・ユンク社製(1906年)先輪1軸動輪3軸の機関車61号。
独ハルトマン社製(1910年)先輪1軸動輪4軸の機関車106号。
 
     
 
独ボルジッヒ社製(1914年)161号機は先輪1軸、動輪4軸。展示車両には全てドイツ語、英語、アラビア語の説明板が建ててあるが、表示内容は製造国・メーカー、製造年、最高速度、燃料種別、車輛重量と長さだけである。   独ハルトマン社製(1918年)259号機は先輪1軸、動輪4軸、後輪1軸。1993年に訪ねた時に貨物列車を牽いてダマスカスからダラアまで走っていた260号機と同形機。
 

753号機のプレート。アラビア語表記の数字でVは7、歪んだ○は5を表す。
  スイス・ロコモテイヴ&マシンワークス(SLM)社製(1894年)でダマスカスから西へレバノンに向かう線区用に導入された753号機関車。先輪1軸、動輪3軸。
 
     
 
961号機は動輪2軸が2組と従輪1軸のマレー式機関車。独ハルトマン社製(1906年)で、レバノンに向かう山岳区間に投入された。   スイスのSLM1894年製803号機は動輪3軸、従輪1軸だが、動輪が台枠の内側にあるアウトサイドフレーム式の足回り。この形式もレバノンに向かう山岳区間に投入された。
 
     
 
車輛展示ゾーンとトラバーサーを挟んで建つ大きな車庫の中に、91号機がいた。この機関車は2009年の英国ツアー一行を載せるシリアの客車を牽いてヨルダン国内まで出張した蒸機だ。独ハルトマン社1907年製。   左の写真で庫の外で顔だけ見えている機関車がこの160号機。車輛展示ゾーンの161号機と同形の独ボルジッヒ社製(1914年)だが、保存状態はこちらの方がずっと良い。この蒸機は1993年に訪ねた時は赤錆びた姿だった。
     
 
博物館から離れた場所の庫の近くに262号機が止まっていた。独ハルトマン社製(1918年)の12輌のひとつであるが、運転できる状態のように見えた。   博物館の用具・部品展示ゾーンは立派な石造りの建物の中にある。(左右)
壁に掲示されている古い写真や時刻表も貴重なものだった。
 
     
カダム駅のシリア鉄道(標準軌)列車のホーム。シリア鉄道は北部のアレッポに本社があり、ダマスカス以北の国内の鉄道網を運営している。   カダム駅のホームで、アレッポ行きの急行列車が発車を待っている。車両は韓国製のステンレス製ディーゼルカー。
 
     
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シリア ヒジャーズ鉄道博物館