インドネシア アンバラワ鉄道博物館 (2011年/その2)
インドネシアのジャワ島中部にあるアンバラワ鉄道博物館。2011年10月に訪ねた時の保存機関車紹介の第2弾は、テンダー(炭水車)を連結していないタンク式蒸機14形式の屋外静態保存の様子。この博物館(その1)のページでは、テンダー式とラック式等の9輌を紹介しているので、合わせて23輌の蒸機がここに保存されていることになる。
インドネシアには多種多様な形式の蒸機が在籍していたが、製造国はドイツ、オランダ、スイスが多い。日本製はわずか4形式、計19輌のみ(全て日本車輛製)だが、戦時中に日本のC12形2輌がジャワ島に渡りC32形となって1970年代まで在籍していた。
 
 
   
スチームトラムのB20 14号機は、イギリスのベイヤー・ピーコック社1905年製。スマランの街路を走っていたようだ。同じスチームトラムでもスラバヤのB12形とは表情が違っている。
 
 
 
B22 20号機はドイツのハルトマン社1900年製。20輌が輸入され、ジャワ島中部の支線で貨客混合列車を牽いていた。
 
 
 
動輪2軸が2組のマレー式はBBという形式番号になる。BB10形は、ドイツのハルトマン社とシュヴァルツコップ社とで、合計 16両が製造されたが、BB10 12号機はハルトマン社1906年製。
 
 
 
C11形は1879年から1891年にかけてドイツのハルトマン社で40輌以上が製造された最古参の形式であるが、サイドタンクの形状は何種類かあるらしい。保存されているC11 40号機は1891年製の最も新しいグループだが、サイドタンクの前面が煙室扉と同じ位置まで伸びて独特の風貌になっている。
インドネシア国鉄(PNKA)の記録ではC11 41号機まではデータがあるが、それ以外に南スマトラ鉄道に移籍した同形機が5輌あったという情報もある。
 
 
 
  C12形はC11形と基本的に同形機であるが、複式蒸気機関という構造になっている。これは片方のシリンダーを通過した蒸気がもう一方のシリンダーに給気されるもので、シリンダーの直径が左右で異なる設計となっている。
1879年から1902年までにドイツのハルトマン社で43輌以上が製造された。保存されているC12 40号機も、C11 40号機のようにサイドタンクが煙室扉の面まで伸びているが、上面の傾斜はなく水平になっている。
 
 
 
 C16 03号機はドイツのハルトマン社1901年製。動輪3軸の足回りでシリンダーが台枠の内側にあるため、外からは見えない構造になっている。
 
 
C17形はC16形と同一設計であるが、100℃の飽和蒸気を使うか、それ以上に加熱するかの違いがある。こちらは飽和蒸気方式で、C17 04号機はドイツのハルトマン社1902年製。C16形と共に地方の支線で客貨両用に使われていた。
 
 
C18形もC16、C17形と同じ設計であるが、過熱蒸気方式で足回りの弁構造が違っている。C18 01号機はドイツのハルトマン社で1908年に製造されたが、この形式はこの1輌のみであった。
 
 
 
C20形は動輪3軸、従輪1軸の足回りで、シリンダーが台枠の内側にあるため、外からは見えない構造になっている。C20 01号機はドイツのハルトマン社で1902年に製造された。この形式は総勢10輌だった。
 
 
 
 
C24 07号機はスイスのWerkspoor社1908年製で、先輪1軸、動輪3軸、従輪1軸の構造。この形式は総勢15輌で、アンバラワやジョグジャカルタの機関区に配置され支線の列車を牽いていた。
 
 
 
C27形は1916年から1922年までの間に39輌が輸入されたジャワ島では大型と言える蒸機。先輪2軸、動輪3軸、従輪2軸の足回りで、動輪直径は1350mm。ジャワ南線始め各地に配置され、ローカル旅客列車や客貨混合列車を牽引していた。
C27 28号機は、スイスのWerkspoor社1920年製。
 
 
 
   
C28形はC27形を基本にしているが、動輪直径は1503mmとひと回り大きく、機関車重量78.5tは、DD形マレー式を除けば、ジャワ島で最も大きな蒸機のひとつだった。
サイドタンクと前部両側に立つデフレクターとでC27形とは随分印象が違って見える。
  機関士の間で最も人気のあったこの形式は、第二次大戦前には時速100km以上のスピードで急行列車を牽いていたという。
1921年にドイツのヘンシェル、ハルトマン、エスリンゲンの3社で合計58輌が製造され輸入された。C28 21号機はヘンシェル製。
 
 
 
D10形は動輪4軸で台枠の内側に動輪があるアウトサイドフレーム構造。1913年から15年の間にドイツのハルトマン社で11輌が製造された。
 
 
 
   
蒸機の動輪の軸数は最大でも5軸までが一般的で、それ以上はCC形のマレー式のように3軸の組が回転する構造になっている。しかし歴史的にはひとつの台枠に6軸固定式の機関車も実用化されていた。
アメリカのユニオンパシフィック鉄道では、直径1702mmの動輪が6軸配置された巨大な蒸機があったというし、それ以外にもオーストリアや、フランス、ブルガリアにもあったらしい。
  その珍しい6軸固定式蒸機を、このアンバラワで見ることができる。1912年にドイツのハノーマーク社がF10形を1輌製造してジャワ島で走らせた結果、翌年から1920年までの間に合計28輌の形式となって、主にジャワ島東部の山岳区間で活躍することとなった。
展示されているF10 02号機は右側のロッドの一部が外れているが、現物を見ることができる6軸機は、恐らく世界でこの1輌だけだと思う。動輪径は1106mm。
 
 
     
アンバラワ鉄道博物館(2011年 その1)    
アンバラワ鉄道博物館(1987年)    
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