ヨルダン ヒジャーズ鉄道(英国ツアー/カタラナ行き)
イギリスの旅行社が企画している世界の蒸気機関車撮影ツアーのひとつとして、2009年9月に団体客がヒジャーズ鉄道を訪れ蒸機特別列車が運転された時の様子は、「ヒジャーズ鉄道(その1〜3)」で紹介したが、2010年9月にも同じ旅行社がほぼ同じ企画を実施した。
2009年の日程の初めに、23号機が牽引する列車がアンマンからカタラナまで往く予定だったがメカトラブルで出直しとなり、ジーザ駅までで打ち切りとなった様子はヒジャーズ鉄道(十連橋)で紹介しているが、今年は無事にカタラナ駅まで走ることができた。
このツアーは10日間でヨルダンとシリアの保存蒸機列車運転を堪能する企画であるが、ヨルダンでは3日間の運転日程で、それぞれ別の蒸機に列車を牽引させるという贅沢なアレンジだ。
 
     
この日の予定は昨年と同じで、朝9時にアンマンを出た列車は、途中で乗客が撮影するためのフォトランバイを繰り返しながら南へ約100km余りの場所にあるカタラナ駅まで行き、一行はここでバスに乗り換えて死海や世界遺産のペトラ遺跡等の観光に向かうというものだ。
<ヨルダン・ヒジャーズ鉄道製ポスターより加工>
  この日列車を牽引する機関車は、1951年にイギリスのロバート・スチーブンソン社で製造された23号機で、今でもこうして動態保存されている。
予定では朝7時半に列車が駅を出発するはずだったが、当日朝になって9時発に変更になった。今年のツアーは18人で催行されたが、中には昨年も参加した人がいた。
 
     
アンマン駅を出た列車は道路に沿って走った後、右に急カーブを切って道路を横切る。遮断機も無いので、汽笛を鳴らし続けながらこの先で道路を斜めに横切って行った。   十連橋で列車は減速し、このショットの後、橋を渡りきったところで、フォトランバイをするために一時停止した。ツアー客が降りてそれぞれ撮影場所を探して列車から離れる間に、次の撮影ポイントへ車で移動した。
 
     
列車は橋の手前の切り通しの陰までバックして上り勾配の途中で停止した後、列車を牽き出して煙を上げながら、カメラを構えるツアー客の前で再び十連橋の上を通過する。   十連橋を通過した場所で再び停止した23号機。撮影を終えた乗客が列車に戻ってくると、次の撮影地点に向けて発車して行く。
 
     
アンマン市内には随所にモスクがあるが、このモスクには金色のドームがあってひときわ目立つ存在。
この画面の右手に差し掛かったところで、列車は減速し停止した。フォトランバイをするようだったが、次の撮影ポイントへ車で移動した。
  市内のカスル駅がサミットになっていて、ここを出た列車は暫くの間下り勾配を走って行く。
牽引する客車のうち茶色の3輌は、日本車輛製のタンク貨車の足回りを使い、自家製車体を載せた改造車輛で2005年に造られたもの。
 
 
 
アンマン郊外に出た列車は、開けた風景の中を左右にカーブしながら走って行く。下り勾配区間をブレーキをかけながらゆっくりと走って来た。
列車の後を追うショットではモスクが添景になる。
  ジーザ駅に到着し給水中の23号機。構内下り方の給水ポートは使えないらしく、上り方のポートを使うため、列車は駅舎より随分手前で止まっていた。この駅は国際空港の近くにあり、離陸中の飛行機が見える
 
     
ジーザ駅を発車する列車。100年前のヒジャーズ鉄道開業時代に造られた石造の駅舎、給水塔、倉庫等が今でも残っている。   ジーザから先、この日の終点カタラナまでは殆んど砂漠の中を線路が続いていて、普通の車では近づくことさえも難しい。数少ない踏切の周辺で走行写真を撮影できる場所を見つけた。
 
     
踏切で線路に接近できる場所へ先回りし列車を待っていると、緩い下り勾配を降りてきた列車は、踏切を横断したところで一旦停車し、バックして踏切手前まで戻って停止、乗客が車内から降りてきた。ここでフォトランバイをやるのだろうか。   暫くそのままで動きがないので確認してみると、機関車の水が足りなくなったので、近くの町から給水タンク車で水を補給してもらうことになったと言う。大きな道路の踏切手前で停止した理由が分かった。
 
     
到着した給水車は機関車のテンダーの近くへ行き、ホースで給水していた。確かにジーザからカタラナまでの約70km間に水を補給できる駅は無いのだろうが、→   →予想外に水を消費したのだろうか。
砂漠の真ん中で水の補給を受けた23号機は、約30分間の臨時停車の後、カタラナに向けて発車して行った。
 
     
朝アンマンを出てから約5時間半後、列車は間もなくカタラナの街に入って行く。   カタラナ駅に到着するとすぐ、機関車を切り離して方向転換し、アンマン側に付け替える作業が始まった。カタラナ駅に列車が来ることは年に数回しかない。子供たちにとっては大事件だ。
 
     
カタラナ駅には機関車の方向転換をする転車台は無いが、デルタ線と言って線路が三角形に配置された場所があり、これを使って機関車の方向転換ができる。   列車から離れた機関車はバックでデルタ線に入り、車止めの手前で停止、ポイントを切り替えてアンマンの方向へ移動して構内外れまで行き、バックしてくると列車のアンマン側の先頭に連結できる。

 
 
     
アンマンの側の先頭に連結された23号機は、給水車から水の補給を受けていた。  
 
     
ヒジャーズ鉄道(英国ツアー/ダラア行き)へ    
ヒジャーズ鉄道(英国ツアー/カスル行き)へ    
保存鉄道のメニューに戻る